
防災備蓄シリーズ、今回は「モノ」ではなく「お金と手続き」です。備蓄が一通りそろった家に残る宿題は、だいたいこの3つです。手元の現金、地震保険の中身、そして被災したあとの手続きの流れ。この3つは、災害が起きてからでは間に合わないものばかりです。
結論:お金の備えは3つだけ
- 現金:停電するとカードもスマホ決済もATMも止まります。4人家族で1万〜2万円が目安(NHK防災)。千円札と小銭で用意すること
- 地震保険:火災保険だけでは、地震が原因の火災は補償されません。地震保険は火災保険の30〜50%までしか設定できず、「家を建て直すお金」ではなく「生活を立て直す足し」です
- 罹災証明書:支援金(最大300万円)や減免を受ける入口になる証明書。市区町村に申請し、職員の調査で被害の程度が認定されます
備え1:現金は「細かく」置く

大規模な停電では、レジも決済端末もATMも止まります。動いている店でも、おつりの現金が足りません。だから現金の備えで大事なのは金額より中身で、千円札を中心に、小銭も混ぜるのが鉄則です。1万円札だけでは、買えない場面が出てきます。
置き場所は2か所に分けます。持ち出し袋に数千円、自宅の決めた場所に残り。公衆電話用の10円玉・100円玉もあると、家族への連絡に役立ちます。保険証や通帳のコピーも、現金と同じ袋に入れておくと手続きが速くなります。
備え2:地震保険の「誤解」を正す
いちばん多い誤解は、「火災保険に入っているから地震も大丈夫」というものです。地震や津波が原因の火災・倒壊は、火災保険では補償されません。必要なのが地震保険で、これは火災保険とセットでしか入れません(財務省)。
- 保険金額は火災保険の30〜50%の範囲で設定(上限は建物5,000万円、家財1,000万円)
- 支払いは損害の認定区分で決まります:全損100%、大半損60%、小半損30%、一部損5%(いずれも保険金額に対して)
- つまり全壊しても、建て替え費用の全額は出ません。役割は「当面の生活と再建の足し」です
- 確認ポイントは3つ:付帯しているか/建物と家財の両方か/設定割合は50%に近いか
証券がどこにあるか分からない、という家も多いはずです。コピーを撮って、現金の袋とクラウドの両方に置いておきましょう。
備え3:被災後の手続きは「写真→罹災証明書」

家が被害を受けたとき、政府広報オンラインが案内する最初の行動は、片付ける前に被害の写真を撮ることです。写真は、保険金の請求でも罹災証明の調査でも、被害を伝える材料になります。
次が罹災証明書です。市区町村に申請すると、職員が被害認定調査を行い、被害の程度(全壊・大規模半壊・半壊など)を証明する書類が発行されます。自治体によってはマイナポータルからオンライン申請もできます。
この証明書が入口になる支援の代表が、被災者生活再建支援金です(内閣府)。基礎支援金(全壊100万円、大規模半壊50万円)に、再建方法に応じた加算支援金(建築・購入200万円、補修100万円、賃借50万円)が加わり、最大300万円。税金や保険料の減免、各種融資の手続きにも罹災証明書を使います。「知らなかった」で受け取れないのが、この制度の怖いところです。
書類と現金を守る3タイプ

タイプ1:耐火・防水バッグ型
通帳・保険証券のコピーと現金をまとめて入れて、持ち出し袋のそばに置くタイプ。2,000〜5,000円ほど。火と水にある程度耐え、そのまま持って逃げられます。お金の備えの第一歩はこれです。
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タイプ2:防水貴重品ポーチ型
現金と小銭、身分証のコピーを入れて持ち出し袋の中に入れる小型タイプ。1,000〜3,000円ほど。浸水から中身を守ることが仕事です。家族分を色分けしておくと、避難先で迷いません。
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タイプ3:家庭用耐火金庫型
自宅に据え置くタイプ。1万〜3万円ほど。現金の残りと、権利証など「失くすと再発行が大変な原本」を守ります。重さがあるものは、盗難対策にもなりますが、置き場所は水害の届かない高さを選んでください。
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- 現金は千円札と小銭で、袋と自宅の2か所に分けてあるか
- 火災保険に地震保険が付いているか、証券の場所とコピーはあるか
- 通帳・保険証・運転免許証のコピー(またはスマホの写真)は家族分そろっているか
- 罹災証明書の申請先が「市区町村」だと、家族が知っているか
まとめ
- 現金は4人家族で1万〜2万円が目安。千円札と小銭で、2か所に分ける
- 地震が原因の火災は火災保険では出ない。地震保険は火災保険の30〜50%、「生活再建の足し」
- 被災したら、片付ける前に写真。次に市区町村へ罹災証明書を申請
- 罹災証明書は支援金(最大300万円)と減免の入口。知らないと受け取れない
この記事は「家と家族を守る」シリーズの1本です。あわせてどうぞ。