
防災備蓄シリーズの13本目は、「実家の防災」です。自宅の備えは計算できても、離れて暮らす親の家は見えにくいものです。実家に多いのは、備蓄が少しだけある、期限が切れている、重い物を運べない、という静かな不足です。
対策の形はシンプルで、帰省がそのまま点検日になります。この記事では、親の家で見るべき数字と、帰省のときに済ませたい点検リスト、そして離れているからこそ決めておく安否確認の約束をまとめました。
結論:実家の備えは「届ける・点検する・約束する」
- 数字は自宅と同じ:親2人暮らしなら水42リットル・食料42食・トイレ70回分が7日分の目安
- ただし実家では、量より運用のしやすさが大事。重い水の買い替えや運搬は高齢の親には負担なので、子が届けるか、ネット注文で実家へ直送する
- 高齢者のための備えとして、常備薬とお薬手帳のコピー、大人用紙パンツ、補聴器の電池、入れ歯用品など、その人の生活用品が欠かせません(首相官邸チェックリスト)
- 安否確認の約束(災害用伝言ダイヤル171の使い方と、連絡の中継地点)を、帰省の会話で決めておく
実家の数字も、やっぱり計算できる

親が2人暮らしなら、7日分の目安は水42リットル(2リットル×21本)、食料42食、携帯トイレ70回分です。1人暮らしなら、その半分。自宅分と計算は同じですが、実家で問題になるのは「量」より次の3点です。
| 実家で起きがちなこと | 対策 |
|---|---|
| 備蓄の期限が切れたまま放置されている | 長期保存品を中心に選び、帰省のたびに期限を点検する |
| 水のケースなど重い物を買い替えられない | ネット注文で実家へ直送する。「贈る備蓄」として仕組み化する |
| 持ち出し袋が重くて持てない | 高齢者の持ち出し量の目安は約6キロ(政府広報オンライン)。在宅避難を基本に、袋は軽く小さく |
ローリングストックは、毎日自炊する実家なら向いていますが、消費ペースがゆっくりな家では回りきらないこともあります。無理に回さず、長期保存品+帰省点検の組み合わせが現実的です。
帰省のときに見る点検リスト
- 水と食料の期限。近づいているものは入れ替え、足りない分はその場で注文する
- 携帯トイレの有無と数。避難所の仮設トイレ通いは足腰の負担になるため、自宅で使える備えを
- 常備薬の残量と、お薬手帳。コピーを1部、子の家にも置いておく
- 懐中電灯が枕元にあるか。寝室からトイレまでの動線に、つまずく物がないか
- 寝室の家具の転倒防止と、避難路をふさぐ配置になっていないか
- 緊急連絡先カード(子の番号、かかりつけ医、近所の頼れる人)を冷蔵庫に貼る

離れているからこそ、安否確認の約束を

災害時は電話がつながりにくくなります。内閣府の「家族で防災」でも、安否確認の方法を家族で決めておくことが勧められています。柱は3つです。
- 災害用伝言ダイヤル「171」:171にかけ、録音は「1」、再生は「2」。伝言は30秒以内。使う電話番号を家族で1つ決めておく
- 中継地点を決める:被災地の外に住む家族や親戚を連絡の中継役に決め、そこへ集約する
- 集合場所と避難先:親がどこへ避難するのか(避難所の名前)を、子も知っておく
伝言ダイヤルは、定期的に体験利用できる日があります。帰省のときに一度、親と一緒に試しておくと、本番で迷いません。
実家へ届ける備えは3タイプ
タイプ1:防災セット直送型
2人用の防災セットを、ネット注文で実家の住所へ直接送る方法です。15,000〜25,000円ほど。リュックの中身を親と一緒に開けて確認する時間まで含めて、最初の「土台づくり」になります。重さは親が持てる範囲に分け、玄関と寝室への分散配置も一緒に。
Powered by Rakuten Developers
タイプ2:長期保存の水・食料型
5年保存水と長期保存食の組み合わせ。帰省が年数回でも期限管理がしやすく、「点検のときに数えるだけ」で済みます。水は2リットル×6本のケースでそろえると数えやすく、消費期限の近いものから実家の普段使いに回せます。
Powered by Rakuten Developers
タイプ3:トイレ・衛生の手厚い型
携帯トイレの大容量セットに、大人用紙パンツや吸水パッドなど、その人の生活に必要な衛生用品を足します。首相官邸のチェックリストでも、高齢者の備えとして挙げられている品目です。衛生の備えは、避難生活の体調を守る要になります。
- 「心配だから」より「一緒に確認しよう」。備蓄の点検は、親への説教ではなく共同作業の形が進みます
- 置き場所と中身の一覧は、子の家にも同じものを。電話越しに「棚の右側に水があるよ」と案内できる状態が理想です
- 近所の人との関係も備えのうち。帰省のときに挨拶しておくと、様子を見てもらえるつながりになります
まとめ
- 実家の数字も同じ計算:2人暮らしなら水42リットル・食料42食・トイレ70回分(7日分)
- 重い物は子が届ける・直送する。持ち出し袋は約6キロまで、在宅避難を基本に
- 帰省が点検日。期限、薬、動線、家具、連絡先カードをチェック
- 安否確認は171と中継地点を家族で約束。体験利用まで済ませておく
この記事は「家と家族を守る」防災備蓄シリーズの13本目です。あわせてどうぞ。
- マンションの防災は何が違う?高層階の断水・トイレ・エレベーター停止への備え
- 車の防災グッズと車中泊の備え|車に積む1泊分の目安と、ガソリン半分の習慣
- ペットの防災は何をそろえる?フードと水の計算と、同行避難の準備リスト
- 防災備蓄チェックリスト|8つの数字で分かる、我が家のそろえ方
- 非常用持ち出し袋の中身は?重さの目安と、家の備蓄から厳選する詰め方
- 冬の停電に備える防寒グッズ|カイロは何枚必要?寝るときの寒さ対策と選び方
- ポータブル電源は何Wh必要?停電で冷蔵庫は何時間動くか計算して選ぶ方法
- 停電対策グッズは何をそろえるべき?明かり・充電・情報の3つと失敗しない選び方
- カセットボンベは何本備えるべき?家族の人数別・必要本数と失敗しない選び方
- 非常食は何日分備えるべき?家族の人数別・必要量と失敗しない選び方
- 備蓄水は何リットル必要?家族の人数別・必要量と失敗しない選び方
- 簡易トイレは何回分備えるべき?家族の人数別・必要回数と失敗しない選び方