
災害時、いちばん先に尽きるのは「水」だった
大きな地震や台風のあと、ライフラインが止まると真っ先に困るのが水です。
水道が止まれば、飲み水はもちろん、お米を炊くことも、カップ麺にお湯を注ぐこともできません。非常食があっても、水がなければ食べられないものが多いのです。
2026年11月には防災庁が発足し、政府も改めて「最低3日分、できれば1週間分」の家庭備蓄を呼びかけています。ちょうど今、備えを見直す人が増えているタイミングです。
この記事では、災害時の備蓄水について、家族で何リットルを備えればいいのか、どんな水を選べば失敗しないのかを、国の目安をもとにまとめました。
※この記事は、実際に被災した体験記ではありません。国のガイドラインと商品の仕様を調べてまとめた「選び方・備え方」の記事です。実際に買って使ってみたら、その感想を追記する予定です。
結論:目安は「1人1日3リットル × 家族の人数 × 7日分」
備蓄水の目安は「1人1日3リットル × 家族の人数 × 7日分」です。最低3日分、できれば1週間分(1人なら21リットル=2リットルペットボトル約11本)を用意してください。
農林水産省は、飲料用と調理用を合わせて1人1日3リットルの水が必要だとしています。首相官邸の防災ページでも、飲料水は「3日分(1人1日3リットルが目安)」とされ、大規模災害では1週間分の備蓄が望ましいとされています。
家族の人数別に計算すると、こうなります。
| 家族の人数 | 最低ライン(3日分) | 推奨(7日分) | 7日分を2リットル瓶で |
|---|---|---|---|
| 1人 | 9リットル | 21リットル | 約11本 |
| 2人 | 18リットル | 42リットル | 21本 |
| 3人 | 27リットル | 63リットル | 約32本 |
| 4人 | 36リットル | 84リットル | 42本 |
ここで大事なのは、「2リットル×6本入りを1ケース買っただけでは、1人分の1週間分にも届かない」ということです。6本で12リットルですから、1人でも3日分を少し超える程度しかありません。
逆に言えば、2リットル×12本(24リットル)のケースなら、1人暮らしの7日分をまかなえます。まず1ケース、これが現実的な第一歩です。
なぜ災害時に、水が先に困るのか
理由は大きく2つあります。
1つ目は断水です。地震で水道管が傷つくと、復旧まで1週間以上かかるケースも少なくありません。その間、水道からは1滴も出ません。
2つ目は「買えなくなる」ことです。災害のニュースが出ると、スーパーやコンビニの水はあっという間に売り切れます。給水車が来ても、長い行列と、持って帰れる量の制限があります。
この記事の「1人1日3リットル」は、飲む水と調理に使う水だけの量です。トイレを流したり、手を洗ったりする「生活用水」は別に必要です。お風呂の水を張っておく、ポリタンクに水道水を入れておく、といった備えも合わせて考えてください。
トイレの備えについては、前回の記事「簡易トイレは何回分備えるべき?」で人数別の目安をまとめています。水とトイレはセットで備えるのがおすすめです。
備蓄水には、大きく3つのタイプがある
タイプ1:5年保存水(備蓄の主役)
賞味期限が5年ある、災害備蓄専用の水です。2リットル×12本のケース売りが中心で、買って置いておけば、期限を気にせず何年も保管できます。
価格の目安は、2リットル×12本でおよそ2,500円〜4,000円前後(1本あたり約200〜330円)。サーフビバレッジの5年保存水や、赤穂化成の海洋深層水の保存水などがこのタイプです。
「量の計算が終わったら、まずこのタイプで最低3日分を確保する」のが、この記事のおすすめの進め方です。
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タイプ2:10年・15年保存水(買い替えを減らしたい人向け)
賞味期限が10年〜15年と、さらに長い保存水です。カムイワッカ麗水(15年保存)などが知られています。
価格の目安は、2リットル×12本でおよそ5,500円〜7,300円前後と、5年保存水より高めです。その代わり、買い替えの周期がとても長く、「期限切れに気づかなかった」という失敗が起きにくいのが利点です。
置き場所が限られていて管理の手間を減らしたい人や、実家の親のために備えてあげたい人に向いています。
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タイプ3:普段の水のローリングストック(安く済ませたい人向け)
特別な保存水ではなく、普段飲んでいるミネラルウォーターを多めに買い置きし、古いものから使って、使った分を買い足す方法です。政府広報オンラインでも推奨されている備え方です。
保存水より安く、期限切れで捨てる無駄も出にくいのが利点です。ただし、賞味期限はおおむね半年〜2年ほどと短いので、「気づいたら全部期限切れ」を防ぐ管理が必要です。
おすすめは、このタイプ3だけで全部をまかなおうとせず、「最低3日分は保存水(タイプ1か2)で固定し、その先をローリングストックで上乗せする」組み合わせです。
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失敗しない選び方、5つのチェック
1. 量で選ぶ
上の表で、自分の家族の「7日分」を先に計算してから商品を見てください。「1ケースあれば安心」ではなく「何リットルあるか」が先です。
2. 保存期間で選ぶ
5年保存が標準、余裕があれば10年・15年保存です。普段の水で代用する場合は、期限が短い分だけ管理が必要になります。
3. 重さと置き場所で選ぶ
水は1リットルで1キロです。2リットル×12本のケースは約24キロあります。4人家族の7日分なら約84キロ。一か所に積み上げるのではなく、押入れ・床下収納・玄関などに分けて置くのが現実的です。
4. 普段飲み慣れた水質で選ぶ
日本の保存水の多くは軟水で、普段の飲用にも向いています。赤ちゃんのミルク用には、硬度の低い軟水や純水タイプを選んでください。
5. 期限の管理方法まで決める
買いっぱなしが一番の失敗です。ケースに油性ペンで賞味期限を大きく書く、買い替え時期をスマホのリマインダーに入れる、この2つだけで期限切れはかなり防げます。
□ 家族の7日分のリットル数を計算した
□ 保存期間(5年/10年/15年)を確認した
□ 置き場所と重さ(1ケース約24キロ)を考えた
□ 普段飲み慣れた軟水かどうか確認した
□ 賞味期限をケースに書くなど、管理方法を決めた
保管のしかた
保管場所は、直射日光の当たらない、涼しい場所が基本です。ペットボトルはにおいが移りやすいので、洗剤や灯油のそばには置かないでください。
重さ対策として、ケースを高い場所に積むのは避けましょう。地震のときに崩れたら危険ですし、取り出すのも大変です。床に近い場所へ、数か所に分けて置くのが安全です。
そして、期限が近づいた保存水は捨てずに、普段の飲用や料理に使ってください。使った分だけ新しい保存水を買い足せば、無駄なく回せます。
よくある失敗
失敗1:6本入り1ケースで安心してしまう
12リットルでは、1人でも3日分+少ししかありません。リットル数で考えるクセをつけましょう。
失敗2:飲み水だけで、生活用水を忘れる
断水時に意外と困るのが、トイレと手洗いの水です。飲料水の備蓄とは別に、お風呂の残り湯やポリタンクの水道水も備えになります。
失敗3:期限切れに気づかない
保存水は長持ちするとはいえ、期限は来ます。ケースへの期限の書き込みと、年1回の見直し(防災の日の9月1日など)をおすすめします。
失敗4:水だけ備えて、食べ物を忘れる
非常食は水がないと食べられないものも多い反面、水だけあっても食事は成り立ちません。水・食料・トイレを3点セットで少しずつそろえていくのが、結局いちばん確実です。
まとめ:まず1ケース(24リットル)から始める
備蓄水の目安は「1人1日3リットル × 家族の人数 × 7日分」。いきなり全量をそろえようとすると、量と重さに圧倒されて続きません。
まずは2リットル×12本の保存水を1ケース。それで1人暮らしなら7日分、2人暮らしなら3日分を超える量が確保できます。あとは家族分に合わせて、少しずつ買い足していけば大丈夫です。
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