
水とトイレの次は「食料」だった
防災の備蓄というと、非常食を思い浮かべる人が多いと思います。
でも実際に災害が起きると、スーパーやコンビニの棚はすぐに空になり、支援物資が届くまでには何日もかかることがあります。農林水産省も、ライフラインの復旧には1週間以上かかるケースが多く、食品が手に入らない期間に備えて最低3日分、できれば1週間分の家庭備蓄を呼びかけています。
この記事は、防災備蓄シリーズの3本目です。1本目の簡易トイレ、2本目の水に続いて、今回は「食料(非常食)」について、家族で何食分を備えればいいのか、どう選べば失敗しないのかを、国の目安をもとにまとめました。
※この記事は、実際に被災した体験記ではありません。国のガイドラインと商品の仕様を調べてまとめた「選び方・備え方」の記事です。実際に買って食べてみたら、その感想を追記する予定です。
結論:目安は「1日3食 × 家族の人数 × 7日分」
非常食の目安は「1日3食 × 家族の人数 × 7日分」です。最低3日分、できれば1週間分(1人なら21食分)を用意してください。
食料の計算は、トイレや水よりシンプルです。1人1日3食として、人数と日数を掛けるだけです。
| 家族の人数 | 最低ライン(3日分) | 推奨(7日分) |
|---|---|---|
| 1人 | 9食分 | 21食分 |
| 2人 | 18食分 | 42食分 |
| 3人 | 27食分 | 63食分 |
| 4人 | 36食分 | 84食分 |
数字だけ見ると実感が湧きにくいので、1人分の1週間分(21食)を実際に並べると、こんな量になります。

ここで大事なのは、「缶詰を数個と乾パン1箱」では、1人分の3日分にも届かないということです。逆に言えば、「1人用3日分セット」を家族の人数分そろえるだけで、最低ラインは超えられます。
なぜ災害時に、食料が手に入らなくなるのか
理由は大きく2つあります。
1つ目は物流が止まることです。道路が寸断されたり、トラックの配送が止まったりすると、店に商品が届きません。店が開いていても、棚が空ということが起きます。
2つ目は支援物資にも時間がかかることです。過去の災害では、支援物資が3日以上届かないことや、1週間入手できない事態も想定されています。「誰かが持ってきてくれる」までの数日間を、家庭の備蓄でしのぐ必要があります。
非常食の多くは、そのままでは食べられません。アルファ米は水かお湯、レトルトは湯せんや温めが必要です。食料だけでなく、水(備蓄水の記事)と、温めるための熱源(カセットコンロなど)もセットで備えてください。
なお、水とトイレの目安は、それぞれ「備蓄水は何リットル必要?」「簡易トイレは何回分備えるべき?」でまとめています。この3つがそろって、はじめて「家で過ごせる備え」になります。
非常食には、大きく3つのタイプがある

タイプ1:非常食セット(初めてはこれが主役)
「1人用・3日分(9食)」や「1人用・7日分(21食)」のように、日数と食数が計算済みのセットです。主食、おかず、汁物までバランスよく入っているので、自分で組み合わせを考えなくて済みます。
価格の目安は、1人用3日分でおよそ4,500円〜9,200円前後、1人用7日分でおよそ7,500円〜13,800円前後。賞味期限は5年のものが主流です。
初めて備える人は、まずこのタイプを人数分そろえるのが一番確実です。
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タイプ2:アルファ米などの主食中心(軽くて場所を取らない)
お湯(または水)を注ぐだけでご飯になる「アルファ米」を中心に備えるタイプです。1食が約100グラムと軽く、場所を取りません。尾西食品のアルファ米が代表格で、白飯、わかめご飯、五目ご飯など種類も豊富です。
価格の目安は、12種類セットでおよそ4,860円前後(1食あたり約400円)。賞味期限は5年です。
セットで土台を作ったあと、「主食だけ買い足したい」「味の種類を増やしたい」というときの追加に向いています。
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タイプ3:普段の食品のローリングストック(安く・無駄なく)
缶詰、レトルト、乾麺、パックご飯など、普段食べている食品を多めに買い置きし、古いものから食べて、食べた分を買い足す方法です。政府広報オンラインでも推奨されている備え方で、専用の非常食より安く、期限切れの無駄も出にくいのが利点です。
弱点は、賞味期限が短めで管理が要ることと、「気づいたら全部食べていた」になりやすいことです。詳しいやり方は、次の章で説明します。
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ローリングストックのやり方(タイプ3の続け方)

やり方は3ステップだけです。
1. 普段の食品を「1週間分多め」に買う
缶詰、レトルト、乾麺、パックご飯など、普段の買い物の延長で大丈夫です。
2. 古いものから食べる
棚に入れるときは新しいものを奥へ、使用するときは手前から。これだけで、期限の rotation が自然に回ります。
3. 食べた分を買い足す
買い物リストに「使った分」を足すだけです。常に「普段の在庫+1週間分」が家にある状態を保ちます。
ただし、ローリングストックだけに頼ると、在庫がゼロの瞬間が来ることもあります。この記事のおすすめは、「最低3日分は5年保存のセット(タイプ1)で固定し、残りをローリングストックでまかなう」組み合わせです。
失敗しない選び方、5つのチェック
1. 食数で選ぶ
上の表で、自分の家族の「7日分」を先に計算してから商品を見てください。「大容量」「お得」といった言葉ではなく、食数が足りているかが先です。
2. 保存期間で選ぶ
専用非常食は5年保存が標準です。それより短いものは、その分だけ買い替えと管理の手間が増えます。
3. 水と熱源が要るか確認する
「お湯を注ぐだけ」「湯せんで温める」タイプは、水と熱源がなければ食べられません。そのまま食べられるパンや缶詰も、一定割合で混ぜておくと安心です。
4. 実際に食べられるものを選ぶ
災害時は、ただでさえストレスが大きい時期です。食べ慣れないもの、嫌いなものばかりだと、食が進みません。農林水産省のガイドでも、チョコレートやビスケットなどの菓子類も大事だとされています。平時に一度試食してみるのが理想です。
5. アレルギーと家族の事情を確認する
家族にアレルギーがある場合、セットの中身を必ず確認してください。アルファ米には、アレルギー物質28品目不使用の商品もあります。赤ちゃんのミルクや離乳食、高齢の方の介護食は、通常の備蓄とは別に考えましょう。
□ 家族の7日分の食数を計算した
□ 保存期間が5年ある(専用非常食の場合)
□ 水・熱源が要るタイプかどうか確認した
□ 家族が実際に食べられる味・内容か考えた
□ アレルギー対応と、ミルク・介護食などの個別の備えを確認した
保管のしかたと期限の管理
保管場所は、水と同じく、直射日光の当たらない涼しい場所です。食品は水ほど重くないので、取り出しやすい高さに置けるのが利点です。
期限管理は、箱や棚に賞味期限を大きく書くのが一番確実です。あわせて、年1回、防災の日(9月1日)など決めた日に在庫を見直す習慣をつけると、期限切れを防げます。
期限が近づいたものは、捨てずに普段の食事で食べてください。「非常食を食べる日」を作ると、味の確認にもなって一石二鳥です。
よくある失敗
失敗1:少しだけ買って安心してしまう
缶詰数個では、1人分の3日分にもなりません。食数で考えるクセをつけましょう。
失敗2:水なしでは食べられないものばかり揃える
ご飯ものは水が必須です。断水を想定して、そのまま食べられるものも混ぜてください。
失敗3:主食だけで、おかずと汁物がない
白飯だけが続くと、食が進まず体力も落ちます。主菜(たんぱく質)と、温かい汁物やお菓子の「ほっとする味」も用意しましょう。
失敗4:期限切れに気づかない
5年保存でも、期限は来ます。箱への書き込みと年1回の見直しで防げます。
まとめ:まず「1人用3日分セット」を人数分
非常食の目安は「1日3食 × 家族の人数 × 7日分」。いきなり全量をそろえようとせず、まずは1人用3日分セットを家族の人数分。それで最低ラインを確保して、あとはローリングストックで上乗せしていくのが、無理のない進め方です。
これで、水・食料・トイレの3点セットがそろいました。どれも「計算してみたら足りなかった」ものばかりでしたが、裏を返せば、計算さえすれば今日から迷わず備えられます。
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