
結論から言うと、下火どころではありません。被害は増え続けていて、手口も進化しています。
愛知県では、10月17日から30日までの2週間だけで、被害総額が10億円を超えました(11月5日、NHK報道)。当サイトでも以前、ニセ警察詐欺の見分け方を記事にしましたが、その後も被害は止まらず、警察の偽サイトまで現れています。この記事は、その続報として、最新の数字と新しい手口、そして変わらない鉄則を整理したものです。
結論:被害は増え、手口は3つ進化した
- 愛知で2週間に10億円超。1,000万円以上の被害が15件、そのうち1億円を超える被害が5件ありました
- 進化1:LINEに誘導して長引かせる。「守秘義務があるから誰にも言うな」と口止めされ、被害が長期化しています
- 進化2:警察の偽サイト。番号を入力すると、自分の名前が入った偽の逮捕状が表示される仕組みまで確認されました
- 進化3:検事も名乗る。「紙幣番号を確認する」という新しい言い回しで、2,500万円を振り込ませた事例があります
- 対策は変わりません。電話を切って、自分で調べた公式の番号にかけ直す。警察相談専用電話 #9110 も使えます
愛知で起きたこと:2週間で10億円超

愛知県警によると、警察官をかたって現金をだまし取る「ニセ警察詐欺」で、10月17日から30日の2週間に発覚した高額被害は15件。いずれも1,000万円以上で、うち5件は1億円を超え、総額は10億円以上にのぼりました。
- 被害者は20代から80代の男女。「高齢者だけの話」ではありません
- 大半が、やりとりの中でLINEに誘導されていました
- 「守秘義務があるので誰にも言ってはいけない」と言われるケースが多く、被害が長期化する傾向があると愛知県警は見ています
- 愛知県内の今年1月から9月の認知件数は631件、被害総額は約76億5,000万円で、去年の同じ時期の2倍以上です
大きな事例では、岡崎市に住む70代の女性が、金地金8キロ(時価約1億7,000万円相当)を「車庫に置くように」と指示され、そのまま持ち去られています。電話1本から始まって、ここまでの被害になるのが今のニセ警察詐欺です。
進化した手口3つ
手口1:LINEに誘導して、口止めして、長引かせる

最初の電話のあと、LINEなどのビデオ通話に誘導されるのが今の主流です。画面越しに警察手帳や逮捕状を見せられると、本物らしく見えてしまいます。さらに「捜査には守秘義務がある。家族にも言うな」と口止めされるため、誰にも相談できないまま、指示される期間が長くなります。
愛知では、日々の予定を「定時連絡」として報告するよう求められ、「身の潔白を証明するため」と言われて通帳の番号と残高を教えてしまった事例も報じられています。連絡が長く続くこと自体が、この詐欺の仕掛けです。
手口2:警察の偽サイトで「自分の名前入り逮捕状」を見せる
新しい手口として、警察庁は10月31日までに、同庁の公式ホームページに似た偽サイトが確認されたと発表しました。警視庁、静岡県警、兵庫県警の偽サイトも確認されていて、一部を通じて約850万円の被害が出ています。
- 静岡県警の偽サイトには、公式にはない「在宅捜査の申請」「氏名番号 検索」という項目がありました
- 犯人から指示された番号を入力すると、自分の氏名などが書かれた偽の逮捕状が表示される仕組みでした
- 警察庁の担当者は「警察がウェブサイトで逮捕状を提示することは絶対にない」と呼びかけています
全国で見ても、ニセ警察詐欺の被害額は2026年1月から6月の半年だけで507億9,000万円(暫定値)にのぼり、前の年の同じ時期より約109億円増えています。去年の記事で紹介した「2025年の1年間で約1,005億円」という数字の勢いが、今年も衰えていません。
手口3:「紙幣番号を確認する」検事を名乗る電話
名乗る相手も、警察官だけではなくなっています。静岡県伊豆の国市では、福岡地方検察庁の検事をかたる男から電話を受けた60代の女性が、現金2,500万円をだまし取られました。
- 言われたのは「トクリュウの男を捕まえた」「あなたの名義の口座を持っている」「あなたは共犯者になっているので逮捕される場合がある」「口座に入っている紙幣の番号を確認する必要がある」という内容でした
- 女性は指定された口座に、6回に分けて合計2,500万円を振り込みました
- 高額な振り込みを不審に思った金融機関が警察に相談し、被害が分かりました
警察は「電話で口座やその残高を聞かれたり、誰にも言わないように指示されたりしたら、詐欺を疑ってください」と注意を呼びかけています。「紙幣番号の確認」は、捜査らしく聞こえる新しい言い回しです。本物の検察が、電話でお金の確認を頼むことはありません。
本物の警察が絶対にしないこと

手口が進化しても、見分け方の芯は変わりません。本物の警察は、次のことを絶対にしません。
- 電話で「あなたは捜査対象です」「逮捕されます」と伝えること
- SNSで連絡を取ること、ビデオ通話で取り調べをすること
- 警察手帳や逮捕状を、画像で送ったり、ウェブサイトで見せたりすること
- お金を要求すること。「資金を調べるので全額振り込んで」と言うこと
もう1つ、知っておいてほしいのが番号の偽装です。警察庁のページには、愛知県警察本部の代表電話番号が着信表示に出た事例が載っています。つまり、画面に本物の警察署の番号が出ていても、それだけで本物とは言えません。
鉄則はシンプルです。いったん電話やビデオ通話を切る。そして、自分で調べた公式の番号にかけ直す。警察庁の事例でも、被害に気づけたのは、自分で代表番号にかけ直して確認したからでした。急ぎでなければ、警察相談専用電話 #9110 や、最寄りの警察署への対面相談でも構いません。
電話が鳴る前の備え3つ
この詐欺は、電話に出てしまった瞬間から始まります。出る前の備えが、いちばん確実な防御です。
タイプ1:迷惑電話防止機能つき電話機
着信時に「通話は録音されます」などの警告メッセージを流し、録音もしてくれる電話機です。実家の固定電話をこれに替えるのが、対策の王道です。1万〜2万円ほど。
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タイプ2:通話録音機(後付け)
今の電話機につなぐだけで、警告アナウンスと自動録音ができる後付けタイプです。電話機ごと買い替えたくない場合に。5,000〜1万円ほど。
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タイプ3:詐欺対策の本・ガイドブック
手口は年々変わります。最新の手口集を1冊、実家の電話のそばに置いておくと、家族で読み合わせる材料にもなります。1,000〜2,000円ほど。
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まとめ
- 愛知では10月17〜30日の2週間で、ニセ警察詐欺の被害が15件・総額10億円超。1億円超の被害が5件
- 手口は進化中。LINE誘導と口止めによる長期化、警察の偽サイトでの逮捕状表示、検事を名乗る「紙幣番号の確認」
- 全国の被害額は2026年上半期だけで507億9,000万円(暫定値)。前年より増えている
- 本物の警察は、電話で逮捕を伝えたり、SNSで連絡したり、逮捕状を画像やサイトで見せたり、お金を要求したりしない
- 着信番号の偽装もある。切って、自分で調べた公式番号にかけ直すのが鉄則。相談は #9110 へ
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TBS NEWS DIG(静岡放送)
警察庁・SOS47