ネズミの増加が止まらないニューヨーク市で、繁殖を抑えるための避妊薬の投与を承認
全体:0月:0週:0日:0
アメリカ、ニューヨーク市では、餌となる残飯が大量にあるため、ネズミが大増殖しており、いくつもの策を講じてきたが、どれも決定打にはいたらなかった。
そこでニューヨーク市は新たな対策の試験導入を承認した。それはなんと、ネズミに避妊薬を投与して繁殖を抑制するというもの。
すでに市の人口の3分の1にあたる、300万匹ものネズミに苦慮した上での試策だが、一方でこの新対策がアメリカで話題となっている女性の避妊や中絶の権利を巡る問題にまで発展しているという。
フラコの悲劇的な死から考案された新たなネズミ対策
今年9月26日ニューヨーク市が、増え続けるネズミへの新たな対策として、ネズミに避妊薬を使用する試験的な計画を発表した。
この対策は、2024年2月に起きた、脱走フクロウの「フラコ」の悲劇的な死をきっかけに考案されたという。
それはユーラシアワシミミズクのフラコが、2023年2月に同市セントラルパーク動物園から脱出し、1年後に死亡が確認された悲しい出来事だ。
一時は野生の自由を謳歌してるように見えたフラコだが、その突然の死にニューヨーカーは胸を痛め、セントラルパークにはフラコの追悼碑が設置された。
フラコの直接的な死因はビルへの衝突による急性外傷だったが、その後の検査で、フラコの体からハト経由とみられるウイルス感染と4種の殺鼠剤が検出され、フラコが餌や獲物の影響で混乱していたことが明らかとなった。
この検査結果は、仮にフラコが衝突せずとも、やがて衰弱死する可能性まで示唆していた。今回のネズミ対策はそうしたフラコの教訓を生かすものだという。
避妊薬でネズミの繁殖を抑制
このたび試策として導入されるのは、ネズミの卵巣機能や精子の生産を抑制するEPA(米国環境保護庁)承認の「ContraPest(コントラペスト)」と呼ばれる避妊薬だ。
この薬はネズミを引き寄せるよう設計された特別な容器に入れられ、都市の各所に配置される予定で、それをネズミが摂取することで効果を発揮する。
持続期間は最長45日間で、ネズミの繁殖スピードを遅らせ、個体数を自然に減らすと見込まれている。またこの方法は、ほかの動物に有害になるリスクが低く、環境にもやさしいそうだ。
300万匹のネズミと暮らすニューヨーカー
ニューヨーク市でのネズミの急増は2010年からのことで、現在、同市には推定300万匹のネズミが生息している。その数は同市の人口のほぼ3分の1にあたるそう。
市ではさまざまな取り組みを行ってきたが、今回の避妊薬に関する法案は、今年4月の市議会でショーン・アブレウ市議会議員が提出したもの。それは現在フラコにちなみ「フラコ法」と呼ばれている。
(殺鼠剤を撒くことは)さほど効果がない。ネズミは2匹で1年間に1万5000匹もの子孫を生むため、(殺鼠剤や駆除による)現状打破はきわめて困難だ
私たちはフラコに起こったことを知っている…(ネズミの数を減らすには)もっといい方法があるはずだ
ネズミの避妊ですべて解決するとは言い切れないが、まずやるべきだろう。時間をかけて、ネズミの繁殖を抑えてみるべきだ (市議会議員ショーン・アブレウ氏)
実施日は今後数カ月以内の予定だが、期間中、該当地域では毎月検査が行われ、当局がネズミ避妊薬の容器内の残量を確認して、その量も追跡するという。
一方で前述のアブレウ氏は、市民に向けて「ゴミをきちんと所定のところに捨てれば、この避妊薬の効果も高まるだろう」と指摘している。
人間女性よりもネズミ?の声が浮上
この発表に人々からはいろいろな声が寄せられ、この計画自体を揶揄するコメントも次々上がった。
・2024年は驚きの年だね!
・(アメリカには女性が避妊薬を入手できない州もあるため)女性よりネズミのほうが簡単に(無料の避妊という)医療を受けられるなんて。私の2024年予想にはなかったことだよ
・女性の権利よりネズミが先とはね
・ネズミに予定通りに薬を食べさせることなんてできるのかな?
・ネズミに街を占領させときゃいいじゃん
・ネズミに避妊薬を与えるって人間が介入すべきことなんだろうか。倫理的にどうなんだろう?
アメリカがネズミに避妊薬?インドでも話題に
海外メディアも、この話題を皮肉めいたトーンで報じている。
一部のインドメディアでも同様の報道が。上のコメントにあったように、アメリカには女性が避妊薬を入手できない州があるにもかかわらず、ネズミは無料で避妊?という声がSNSでもシェアされているからだ。
アメリカの動物保護団体からは喜びの声が
なおアメリカの動物保護団体PETAは、今回の計画についてこう述べている。
私たちは長年にわたり、同市にネズミの個体数の制御に非致死的な方法を求めてきました。
そして、ネズミの避妊を選択したことを嬉しく思います
(この方法は)毒や窒息などの残酷で致死的な方法でげっ歯類を殺すよりも人道的であり、毒物による既知のリスクである他の動物を誤って殺す危険性はありません
ただ勤続12年のある獣医からは気になる声も。
その医師によると、実はニューヨーク市は前もネズミに同じ避妊薬を使ったことがあり、さほど効果が無かったというのだ。実際のとこはどうなんだろう?
種類によるが、メスのネズミは1度の出産で平均5~12匹の子を産み、1年で7度出産することもある。
つまり最多なら1年でおよそ84匹の子を産む。またメスの寿命は長くて4年ほどだそう。
「フラコ法」として承認される一方で、海外からも皮肉られてるニューヨークのネズミ対策。この先どうなるかねえ。
▼あわせて読みたい
・増殖中のネズミ対策のため、ニューヨークでピザの空き箱専用回収ボックスが設置される
・あれから1年、動物園を脱走したフクロウは本物のニューヨーカーとなる。フラコ1年間の軌跡
・ニューヨークの脱走フクロウ、肥えたネズミを捕食しまくり体が2倍に
・動物園生まれのフクロウ(ワシミミズク)、柵を破壊され外に飛び立ってしてしまうも、自力で狩りに初成功
・多いのは知ってたけどさらに増えてた。ニューヨークでネズミが大増殖
引き用元サイト: カラパイア
記事元url: https://karapaia.com/archives/457672.html
推し
新着記事
- 当社比何倍?バナナが巨大すぎて口にいれると大変なことに
- 君の犬と僕の犬は親友になれそう、とマッチングアプリで声をかけたところ飼い主同士も互いの犬もベストな仲に
- 日本人は何者なのか?弥生人の古代ゲノム解析からそのルーツが明らかに(東京大学)
- 全ては猫さまの為。穴を掘って猫に入ってもらい周辺を警護する犬のガードマン部隊
- 犬が人間に変身して走り去っていくだと!?これが伝説のナワルなのか?
- 怖くて夢に出そう。科学者が4万1000年前に起きた地球の磁気逆転現象の音を再現(要音声)
- これは便利かも!トラックがトランスフォームしてイベント会場に大変身
- ハワイで爆発的に増加する外来種のカエルの駆除計画にドローン攻撃を採用
- 飼い主が乗る救急車を必死に追いかける忠犬、40kmの道のりを走り続ける
- やっぱ植物は偉大だ。樹木は数百万年にわたる気候変動に適応し続けている
- 天賦の才!絶対音感を持ち七色の声でギターに合わせて熱唱するボウシインコ(要音声)
- 史上最大級の節足動物「アースロプレウラ」の頭部が発見され、その構造が明らかに
- 大西洋の海底に隠された古代の小惑星衝突のクレーターの詳細が地震データで明らかに
- 台湾のピザハットがまたやりおった。ハロウィンに向けて、恐ろしいピザを販売
- 謎の飛行物体十数機が米軍基地上空に17日間飛来、未だ正体不明で国防総省も困惑
- やせ細った猫に魚をあげたところ、食べずに運んでいった。そこには感動の瞬間が待っていた
- 猫の飼い主は女性より男性の方が多かった!世界最大規模の調査で判明
- 散歩のたびに棒を拾って誇らしげに口にくわえ、通行人の称賛を浴びるのが好きな犬
- 20世紀初頭のロンドンを震撼させた「浴槽の花嫁」連続殺人事件の恐ろしい手口
- ウニの増殖でサンゴ礁が危機、だが大型ルーキーの存在を発見!ネコザメがウニをバリバリと大量捕食
- ペットは暗いトンネルの先にある光のような存在。世界メンタルヘルスデーの広告が秀逸
- 母親が息子を車から降ろそうとした瞬間、道路に穴が空き車ごと飲み込まれる
- 捜索救助隊の車両に猫が入り込んだまま高速道路を走行。救助後保安官の家族に
- 今年最大の満月がやってくる!2024年10月17日(木)はスーパームーン
- 楽園への切符を手にした猫。へそ天、腹出しでゴートゥーヘブン
- ケニアで恐れられていた人食いライオンの歯をDNA解析、人間を食べた証拠を発見
- 木星の大赤斑がゼリーのようにプルプル揺れている謎の現象をハッブル宇宙望遠鏡が観測
- イギリスの街に突如現れた不気味で巨大な赤ちゃん人形に住民も困惑
- ハリケーン「ミルトン」に備え自宅丸ごとベルトで固定し話題となった家、その結果は?
- 土砂崩れで家が崩壊し11歳少年が下敷きに。愛犬が消防隊を導き瓦礫の下から救出