ネズミの増加が止まらないニューヨーク市で、繁殖を抑えるための避妊薬の投与を承認

    全体:8月:0週:0日:0

FavoriteLoadingお気に入りに追加
Photo by:iStock

 アメリカ、ニューヨーク市では、餌となる残飯が大量にあるため、ネズミが大増殖しており、いくつもの策を講じてきたが、どれも決定打にはいたらなかった。

 そこでニューヨーク市は新たな対策の試験導入を承認した。それはなんと、ネズミに避妊薬を投与して繁殖を抑制するというもの。

 すでに市の人口の3分の1にあたる、300万匹ものネズミに苦慮した上での試策だが、一方でこの新対策がアメリカで話題となっている女性の避妊や中絶の権利を巡る問題にまで発展しているという。

フラコの悲劇的な死から考案された新たなネズミ対策

 今年9月26日ニューヨーク市が、増え続けるネズミへの新たな対策として、ネズミに避妊薬を使用する試験的な計画を発表した。

 この対策は、2024年2月に起きた、脱走フクロウの「フラコ」の悲劇的な死をきっかけに考案されたという。

 それはユーラシアワシミミズクのフラコが、2023年2月に同市セントラルパーク動物園から脱出し、1年後に死亡が確認された悲しい出来事だ。

 一時は野生の自由を謳歌してるように見えたフラコだが、その突然の死にニューヨーカーは胸を痛め、セントラルパークにはフラコの追悼碑が設置された。

 フラコの直接的な死因はビルへの衝突による急性外傷だったが、その後の検査で、フラコの体からハト経由とみられるウイルス感染と4種の殺鼠剤が検出され、フラコが餌や獲物の影響で混乱していたことが明らかとなった。

 この検査結果は、仮にフラコが衝突せずとも、やがて衰弱死する可能性まで示唆していた。今回のネズミ対策はそうしたフラコの教訓を生かすものだという。

逃走したてのフラコのニュース/The great escape of Flaco the New York City owl

避妊薬でネズミの繁殖を抑制

 このたび試策として導入されるのは、ネズミの卵巣機能や精子の生産を抑制するEPA(米国環境保護庁)承認の「ContraPest(コントラペスト)」と呼ばれる避妊薬だ。

  この薬はネズミを引き寄せるよう設計された特別な容器に入れられ、都市の各所に配置される予定で、それをネズミが摂取することで効果を発揮する。

 持続期間は最長45日間で、ネズミの繁殖スピードを遅らせ、個体数を自然に減らすと見込まれている。またこの方法は、ほかの動物に有害になるリスクが低く、環境にもやさしいそうだ。

Photo by:iStock

300万匹のネズミと暮らすニューヨーカー

 ニューヨーク市でのネズミの急増は2010年からのことで、現在、同市には推定300万匹のネズミが生息している。その数は同市の人口のほぼ3分の1にあたるそう。

 市ではさまざまな取り組みを行ってきたが、今回の避妊薬に関する法案は、今年4月の市議会でショーン・アブレウ市議会議員が提出したもの。それは現在フラコにちなみ「フラコ法」と呼ばれている。

(殺鼠剤を撒くことは)さほど効果がない。ネズミは2匹で1年間に1万5000匹もの子孫を生むため、(殺鼠剤や駆除による)現状打破はきわめて困難だ

私たちはフラコに起こったことを知っている…(ネズミの数を減らすには)もっといい方法があるはずだ

ネズミの避妊ですべて解決するとは言い切れないが、まずやるべきだろう。時間をかけて、ネズミの繁殖を抑えてみるべきだ (市議会議員ショーン・アブレウ氏)

 実施日は今後数カ月以内の予定だが、期間中、該当地域では毎月検査が行われ、当局がネズミ避妊薬の容器内の残量を確認して、その量も追跡するという。

 一方で前述のアブレウ氏は、市民に向けて「ゴミをきちんと所定のところに捨てれば、この避妊薬の効果も高まるだろう」と指摘している。

Photo by:iStock

人間女性よりもネズミ?の声が浮上

 この発表に人々からはいろいろな声が寄せられ、この計画自体を揶揄するコメントも次々上がった。

・2024年は驚きの年だね!

・(アメリカには女性が避妊薬を入手できない州もあるため)女性よりネズミのほうが簡単に(無料の避妊という)医療を受けられるなんて。私の2024年予想にはなかったことだよ

・女性の権利よりネズミが先とはね

・ネズミに予定通りに薬を食べさせることなんてできるのかな?

・ネズミに街を占領させときゃいいじゃん

・ネズミに避妊薬を与えるって人間が介入すべきことなんだろうか。倫理的にどうなんだろう?

アメリカがネズミに避妊薬?インドでも話題に

 海外メディアも、この話題を皮肉めいたトーンで報じている。

 一部のインドメディアでも同様の報道が。上のコメントにあったように、アメリカには女性が避妊薬を入手できない州があるにもかかわらず、ネズミは無料で避妊?という声がSNSでもシェアされているからだ。

New York to use Birth Control to Reduce Rat Population | Vantage with Palki Sharma

アメリカの動物保護団体からは喜びの声が

 なおアメリカの動物保護団体PETAは、今回の計画についてこう述べている。

私たちは長年にわたり、同市にネズミの個体数の制御に非致死的な方法を求めてきました。

そして、ネズミの避妊を選択したことを嬉しく思います

(この方法は)毒や窒息などの残酷で致死的な方法でげっ歯類を殺すよりも人道的であり、毒物による既知のリスクである他の動物を誤って殺す危険性はありません

 ただ勤続12年のある獣医からは気になる声も。

 その医師によると、実はニューヨーク市は前もネズミに同じ避妊薬を使ったことがあり、さほど効果が無かったというのだ。実際のとこはどうなんだろう?

 種類によるが、メスのネズミは1度の出産で平均5~12匹の子を産み、1年で7度出産することもある。

 つまり最多なら1年でおよそ84匹の子を産む。またメスの寿命は長くて4年ほどだそう。

 「フラコ法」として承認される一方で、海外からも皮肉られてるニューヨークのネズミ対策。この先どうなるかねえ。

続きを読む...

▼あわせて読みたい
増殖中のネズミ対策のため、ニューヨークでピザの空き箱専用回収ボックスが設置される
あれから1年、動物園を脱走したフクロウは本物のニューヨーカーとなる。フラコ1年間の軌跡
ニューヨークの脱走フクロウ、肥えたネズミを捕食しまくり体が2倍に
動物園生まれのフクロウ(ワシミミズク)、柵を破壊され外に飛び立ってしてしまうも、自力で狩りに初成功
多いのは知ってたけどさらに増えてた。ニューヨークでネズミが大増殖

この記事のカテゴリ:動物・鳥類 / 料理・健康・暮らし

引き用元サイト: カラパイア

記事元url: https://karapaia.com/archives/457672.html

 - karapaia , , , , , , , ,

他の人のお気に入り

推し

新着記事

  1. 【続編】アラスカの海底で発見された謎のゴールデンエッグの正体がついに明らかに!
  2. インドに設置された「世界一ゆっくり動く」キットカットの自動販売機。
  3. 英国政府が発表。世界100か国が一般人のスマホをハッキングできるスパイツールを保有
  4. リモコンを人質におやつを要求する賢い大型犬
  5. コーヒーを飲む習慣は腸内細菌を変え、ストレスを軽減し気分を改善することが研究で明らかに
  6. キュリオシティが火星の粘土層に35億年間保存された生命の材料となる有機分子を発見
  7. にゃ?アメリカのパイロットたちが猫や犬の鳴き声で無線会話。連邦航空局の調査対象に
  8. 【続編】バス停のガラスを粉砕したデリバリーロボット、自身の謝罪文をバス停広告枠に掲載
  9. オンリー南アフリカ。車の下にペンギンが入り込むので要確認!
  10. ウーパールーパーの遺伝子が人間の手足再生の鍵となるかもしれない
  11. AIを試すため架空の病気の偽論文を公開、本物と拡散され研究者まで騙される事態に
  12. イーロン・マスクの頭をつけたロボット犬がサンフランシスコの街を徘徊中
  13. 砂漠から宇宙を見つめる巨大な「サハラの目」NASAの最新衛星画像
  14. 猫が突然何も食べなくなり、病院に行くも異常なし。後に意外な原因が明らかに
  15. コカイン汚染で野生のサケの行動が変化。通常の1.9倍長く泳ぎ続ける
  16. 古代ヨーロッパ人は死者の骨に価値を見出し、掘り起こして家に飾ったり贈り物にした
  17. 高さ3mから荷物を落下、Amazonの配送ドローンサービスが物議
  18. 民家の裏庭に熱気球が不時着!狭い空間に奇跡の着地
  19. トルコのホテルで出会った運命の猫、チェコに連れ帰り家族の一員に
  20. もっと生きて欲しい。ボイジャー1号に新たな延命措置、科学観測機器を停止
  21. 恒星間天体3I/ATLASは毎秒2トンもの水を宇宙空間に噴出していることが判明
  22. コロンビアの麻薬王、パブロ・エスコバルのカバ、増えすぎて制御できず政府が安楽死を決定
  23. 紫色のエイリアン?浜辺で目撃された光るキノコ「ウミシイタケ」
  24. 反省はしていない。病院に行く予定だった犬、脱走して犬の保育園に行き大はしゃぎ
  25. 都会の暮らしに適応した野生動物。種を問わず世界中で同様の行動をとっていた
  26. 印刷した人工ニューロンが生きた脳細胞と会話することに成功
  27. 91歳女性が安否不明!と思ったらゲームに夢中になっていただけだった
  28. コスタリカの森の奥では、野生動物たちが同じ木を共同トイレとして使っていた
  29. 69歳になりました!「飼育下で世界最高齢」のゴリラが今年も無事に誕生日を迎える
  30. AIは訓練データに痕跡がなくても別のAIから悪い癖を受け継ぐことが判明